大学紹介平成28年年頭挨拶
皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
年末年始、皆様はどのように過ごされたのでしょうか。十分にリフレッシュされましたでしょうか。
今年、我が家では、息子と娘夫婦が帰省して来てくれましたので、久しぶりに家族全員、顔を揃えて新たな年を迎えることができました。
大学は、学生教育上も、会計上も年度の区切りで動いておりますが、やはり新年を迎えるというのは、新たな気持ちで再出発する一区切りになっているような気がいたします。
さて、年が明けて平成28年は、国立大学法人にとりまして、その第3期中期目標期間に入ります。言うまでもなく、第3期中期目標期間は、各国立大学にとりまして、再定義されたミッションの実質化とその強化に取り組む、重要な期間と位置づけられています。本学も、強み?特色をさらに発展させて機能強化を図り、それにより運営費交付金と補助金を最大限獲得していかなくては、教育?研究活動も、また我々自身の生活も成り立ちません。
第3期中期目標については、現在その原案に対する意見が求められています。同時に、その原案を踏まえた中期計画案を1月15日までに提出することになっています。今回の中期計画案の作成に当たっては、特に各国立大学法人が中期目標?計画を国民に公表することになっていることに鑑み、各国立大学が運営費交付金を使って、6年間で何を目指して、どんなことをするのかということを、国民にできるだけわかりやすく説明責任を果たす、あるいは約束するという意識を持って練り上げることが求められています。
このことを踏まえますと、法人?大学の双方にとって、中期計画に取り組むということは他人事(ひとごと)ではなく、教職員が一丸となって、誠実に取り組まなければならないものであるということに、改めて留意しなくてはなりません。中期計画及び年度計画は、中期目標を達成するためのいわば道しるべのようなものであり、年度計画を一つ一つ確実に消化していくことが目標達成の基本となります。改めましてご理解のほどよろしくお願いいたします。
少し付け加えますと、年度計画の達成状況、及び成果は、直接的に第3期の運営費交付金の額に跳ね返ってきます。つまり、皆さんもご存じの通り、第3期中期目標期間には、運営費交付金について、各大学の機能強化の方向性に応じた重点配分の仕組みが導入されます。その中で、競争的な環境が強化されることは避けられない見通しであり、年度計画の達成状況が指標に基づいて評価され、成果に応じた配分を受けることになります。このような観点からも、中期計画?年度計画に関わる関係部署及び各キャンパスにおいて、計画的な取り組みをお願いします。
運営費交付金の話になりましたので、ここで、予算上の重点支援の枠組みについて少しお話しさせていただきます。それは第3期中期目標期間の本学の基本的な目標及び中期計画と密接に関わるものであります。本学は3つある枠組みのうち、「地域に貢献する取り組み」を行うとともに、「強み?特色のある分野で、世界的?全国的な教育研究を推進する」という枠組みを選択いたしました。
「地域に貢献する取り組み」といいますのは、一言で言えば、まず第一に課程?学科にかかわらず、地域?社会から求められている人材を養成することです。教員養成課程の場合には、そのことがミッションの再定義の中で明記された就職率と占有率という数値により検証されることになります。第二に、学校や地域社会の課題に研究面から取り組み、成果をあげて、それを地域社会に還元していくということだと考えます。
今述べました“求められる人材を養成する”という点についてもう少しかみ砕きますと、高大接続を重視した入学試験改革という入り口の問題をはじめとして、カリキュラム改革という教育の中身の問題、その教育を担う大学教員の研究組織の再構築と絡めた大学院改革という、非常に重要な組織改革などを含めて考えることができます。
そして“研究成果の還元”という中には、「子どもたちの学力?体力」「いじめ?不登校」「小中一貫教育」「小学校英語」「地域の活性化」といったキーワードで表現される組織的な研究を想定することができます。
一方、「強み?特色のある分野で世界的?全国的な教育研究を推進する」といいますのは、例えば、本学ではへき地?小規模校教育に長年取り組んできており、そのことについては全国的に見ても本学が中核となって牽引していくべき分野だと思っています。さらに、アジアやアフリカに目を向けますと、複式の教育方法の導入が課題だという話も聞いています。従ってこの分野では、世界的な研究も十分にできるのではないでしょうか。さらに、芸術やスポーツのいわば“文化力”とでも言うべきものに着目したユニークな研究や人材養成などでも、全国的あるいは世界的に勝負できるような気がしています。そのほかにも、私などが思いも付かないような、本学の強み?特色を生かした取組というものがあると思います。是非それは先生方に教えていただきたいと願っています。それを積極的に後押ししたいと考えています。
課題を挙げればきりがないわけですが、学生の経済的な支援の方法、海外留学を促進し、また留学生を受け入れるための改善策等、一つ一つ計画的に取り組んでいきたいと考えています。
年頭に当たって私の頭の中に去来する様々な課題についてとりとめもなくお話しさせていただきました。年の初めから「課題がある」という話ばかりで大変恐縮ですが、それもまた現時点での私の頭の中の正直な状態を表しています。
最後に、昨年12月に報道された金星探査機「あかつき」の話を付け加えさせてください。メインエンジンが故障したまま、5年ぶりに金星の周回軌道に投入できたというニュースです。チームリーダーは「絶望的な気持ち」になりながらも「チームの結束により夢の実現につながった」とコメントしていました。私は、あきらめない心と、その根底にある科学者としての信念、責任感、緻密な努力と能力に、人間のすばらしい面を見た思いがいたしました。しかも、それが孤独な戦いではなく、同じ志を持つチームによる勝利だったという点にも心を動かされました。
北海道教育大学という大きなチームも一丸となれば大きな力を発揮できる、そういう組織だと思います。同じ志を持つということは難しいことかもしれません。しかし、志とまではいえないけれども、例えば、学生教育に対しては決して手を抜かない、というような具体的な考え方ならいくらでも共有できるのではないでしょうか。そのような考え方を共有できる範囲を広げていけるよう、議論する時間も必要となるでしょう。そのための努力もしなければならないと考えています。
教職員の皆さん、皆さんの力を結集して北海道、ひいては日本のために、そして何より本学で学ぶ学生と自分自身のために、またこの一年頑張りましょう。
とりとめのない話となりましたが、これで年頭にあたっての私の挨拶とさせていただきます。
?
年末年始、皆様はどのように過ごされたのでしょうか。十分にリフレッシュされましたでしょうか。
今年、我が家では、息子と娘夫婦が帰省して来てくれましたので、久しぶりに家族全員、顔を揃えて新たな年を迎えることができました。
大学は、学生教育上も、会計上も年度の区切りで動いておりますが、やはり新年を迎えるというのは、新たな気持ちで再出発する一区切りになっているような気がいたします。
さて、年が明けて平成28年は、国立大学法人にとりまして、その第3期中期目標期間に入ります。言うまでもなく、第3期中期目標期間は、各国立大学にとりまして、再定義されたミッションの実質化とその強化に取り組む、重要な期間と位置づけられています。本学も、強み?特色をさらに発展させて機能強化を図り、それにより運営費交付金と補助金を最大限獲得していかなくては、教育?研究活動も、また我々自身の生活も成り立ちません。
第3期中期目標については、現在その原案に対する意見が求められています。同時に、その原案を踏まえた中期計画案を1月15日までに提出することになっています。今回の中期計画案の作成に当たっては、特に各国立大学法人が中期目標?計画を国民に公表することになっていることに鑑み、各国立大学が運営費交付金を使って、6年間で何を目指して、どんなことをするのかということを、国民にできるだけわかりやすく説明責任を果たす、あるいは約束するという意識を持って練り上げることが求められています。
このことを踏まえますと、法人?大学の双方にとって、中期計画に取り組むということは他人事(ひとごと)ではなく、教職員が一丸となって、誠実に取り組まなければならないものであるということに、改めて留意しなくてはなりません。中期計画及び年度計画は、中期目標を達成するためのいわば道しるべのようなものであり、年度計画を一つ一つ確実に消化していくことが目標達成の基本となります。改めましてご理解のほどよろしくお願いいたします。
少し付け加えますと、年度計画の達成状況、及び成果は、直接的に第3期の運営費交付金の額に跳ね返ってきます。つまり、皆さんもご存じの通り、第3期中期目標期間には、運営費交付金について、各大学の機能強化の方向性に応じた重点配分の仕組みが導入されます。その中で、競争的な環境が強化されることは避けられない見通しであり、年度計画の達成状況が指標に基づいて評価され、成果に応じた配分を受けることになります。このような観点からも、中期計画?年度計画に関わる関係部署及び各キャンパスにおいて、計画的な取り組みをお願いします。
運営費交付金の話になりましたので、ここで、予算上の重点支援の枠組みについて少しお話しさせていただきます。それは第3期中期目標期間の本学の基本的な目標及び中期計画と密接に関わるものであります。本学は3つある枠組みのうち、「地域に貢献する取り組み」を行うとともに、「強み?特色のある分野で、世界的?全国的な教育研究を推進する」という枠組みを選択いたしました。
「地域に貢献する取り組み」といいますのは、一言で言えば、まず第一に課程?学科にかかわらず、地域?社会から求められている人材を養成することです。教員養成課程の場合には、そのことがミッションの再定義の中で明記された就職率と占有率という数値により検証されることになります。第二に、学校や地域社会の課題に研究面から取り組み、成果をあげて、それを地域社会に還元していくということだと考えます。
今述べました“求められる人材を養成する”という点についてもう少しかみ砕きますと、高大接続を重視した入学試験改革という入り口の問題をはじめとして、カリキュラム改革という教育の中身の問題、その教育を担う大学教員の研究組織の再構築と絡めた大学院改革という、非常に重要な組織改革などを含めて考えることができます。
そして“研究成果の還元”という中には、「子どもたちの学力?体力」「いじめ?不登校」「小中一貫教育」「小学校英語」「地域の活性化」といったキーワードで表現される組織的な研究を想定することができます。
一方、「強み?特色のある分野で世界的?全国的な教育研究を推進する」といいますのは、例えば、本学ではへき地?小規模校教育に長年取り組んできており、そのことについては全国的に見ても本学が中核となって牽引していくべき分野だと思っています。さらに、アジアやアフリカに目を向けますと、複式の教育方法の導入が課題だという話も聞いています。従ってこの分野では、世界的な研究も十分にできるのではないでしょうか。さらに、芸術やスポーツのいわば“文化力”とでも言うべきものに着目したユニークな研究や人材養成などでも、全国的あるいは世界的に勝負できるような気がしています。そのほかにも、私などが思いも付かないような、本学の強み?特色を生かした取組というものがあると思います。是非それは先生方に教えていただきたいと願っています。それを積極的に後押ししたいと考えています。
課題を挙げればきりがないわけですが、学生の経済的な支援の方法、海外留学を促進し、また留学生を受け入れるための改善策等、一つ一つ計画的に取り組んでいきたいと考えています。
年頭に当たって私の頭の中に去来する様々な課題についてとりとめもなくお話しさせていただきました。年の初めから「課題がある」という話ばかりで大変恐縮ですが、それもまた現時点での私の頭の中の正直な状態を表しています。
最後に、昨年12月に報道された金星探査機「あかつき」の話を付け加えさせてください。メインエンジンが故障したまま、5年ぶりに金星の周回軌道に投入できたというニュースです。チームリーダーは「絶望的な気持ち」になりながらも「チームの結束により夢の実現につながった」とコメントしていました。私は、あきらめない心と、その根底にある科学者としての信念、責任感、緻密な努力と能力に、人間のすばらしい面を見た思いがいたしました。しかも、それが孤独な戦いではなく、同じ志を持つチームによる勝利だったという点にも心を動かされました。
北海道教育大学という大きなチームも一丸となれば大きな力を発揮できる、そういう組織だと思います。同じ志を持つということは難しいことかもしれません。しかし、志とまではいえないけれども、例えば、学生教育に対しては決して手を抜かない、というような具体的な考え方ならいくらでも共有できるのではないでしょうか。そのような考え方を共有できる範囲を広げていけるよう、議論する時間も必要となるでしょう。そのための努力もしなければならないと考えています。
教職員の皆さん、皆さんの力を結集して北海道、ひいては日本のために、そして何より本学で学ぶ学生と自分自身のために、またこの一年頑張りましょう。
とりとめのない話となりましたが、これで年頭にあたっての私の挨拶とさせていただきます。
?
平成28年 年頭
北海道教育大学長 蛇穴 治夫