大学紹介平成30年年頭挨拶
皆さん、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、皆様方のおかげで、今取り組んでいる改革や、年度計画を順調に進められたと考えております。年末に法人評価委員会から伝達された、平成28事業年度に係る法人評価の結果においても、全ての項目で「順調に進んでいる」との評価を得、加えて、それぞれの項目に、注目される取り組みも取り上げられました。本当にありがとうございました。
さて、昨年来、教員養成改革に関する議論が全国的に進められています。その中で幾度となく「高度化」あるいは「高度専門職」という言葉を耳にしました。
そもそも教師という職業は、国家資格ではありませんが、医師、弁護士、薬剤師などと同様、高度な専門職だと、私は捉えています。
つまり、教員を目指す学生は、その養成段階において、教育学、心理学を始め、教科の基盤となる自然?社会?人文科学など、極めて多岐にわたる学問の専門的知識を吸収しなければなりません。そればかりか、それらの内容と理論に基づいた実践を行うための基本的技能を身につけ、そして実践を積みながら経験知を増やさなくてはなりません。最終的に、それら極めて多岐にわたる知識と技能?経験知の全ての要素を構造化して、個々の関連性も理解して教員となります。
さらに、現場に出れば、一人一人多様な子どもから学ぶこと、さらには、世の中の変化に対応するための最新の理論や知識等を、その構造の中に位置づけて再構築することを続けていかなければなりません。極めて多岐にわたる知識?技能と経験知が、教員の中で構造化され、関連性が理解されているからこそ、経験したことのない新たな課題に対しても、構造化された要素に照らして速やかに判断を行って、適切な対応ができることになります。教師が学び続ける職業と言われるゆえんであり、まさに臨床医や弁護士と同等の高度な専門職であることを示しているわけです。
だとすれば、ことさら教員養成大学?学部において高度化の問題が取り上げられるのはなぜなのでしょうか。一つの問題として、高度専門職業人を養成する大学?学部自体が全体として教員養成のプロ集団になっていますか?と問われているのではないかと思います。
プロということをどう定義するかは色々あると思いますが、NHKの「プロフェッショナル―仕事の流儀」という番組の中で、カルビーの社長?松本晃さんがこう言っていたことが思い出されます。
「プロとは、第一に圧倒的な実績を持っていること。第二に人を納得させる理論を持っていること。第三に人から尊敬される、あるいはあの人ならと思わせる人徳を備えていること。」
私たちに当てはめて考えると、教員養成を担う一人一人が、それぞれが専門とする学問を土台として、学校教育という臨床の場における課題解決に確固たる実績をつくり、その蓄積の中から、個々の課題に適用し得る普遍的?体系的な概念?理論を生み出し、それをもって学生が将来子どもたちのために最大限の力を発揮できるように教育する、ということになるのではないでしょうか。
そういう学問として取り組む教員養成、これを象徴的に「教員養成学」と呼んで、その構築を目指せないものかと考えています。このことが今後まとめる本学の大学院改革の基調になければならないと考えているところです。さらに言えば、教員養成に関して繰り返される議論に終止符を打つためには、今述べたように、大学?学部がプロ集団になることが重要なのではないかと考えています。
函館?岩見沢の学科は、この3月に、はじめて卒業生を出します。本学に来てはじめて卒業生を出す先生方もいることでしょう。卒業生一人一人が今後どう生きていくのか、ちゃんとやっていけるのか、卒業させても心配は尽きないと思います。
気になっている一期生の就職状況についてはまだ聞いていませんが、年末にかけて学生の活動が伝わってきました。一つは函館校の学生が「第2回函館学生政策アイデアコンテスト」で優秀作品アイデア賞を受賞したというもの。もう一つは岩見沢校の学生が、札幌市主催の「オリンピック?パラリンピックを考える学生アイデアコンテスト」で最優秀賞に選ばれたというものです。
いずれの学生も、学科の目的、すなわち「地域再生?活性化を牽引する実践的な能力の獲得」ということが実現されているということを実際に見せてくれていると感じ入った次第です。学科全体、研究室単位での教育が実を結んでいるのではないでしょうか。
今紹介したような成果は、教員養成課程にとっても大きな意味を持っています。
国際的な視野を持って、教育問題を含む地域の課題を分析し、その解決策を企画?実施?検証する函館校の取り組みは、まさに現在進行形の生きた地域教材となります。また、音楽?美術?スポーツという文化は、社会的包摂機能を持ち、多様な人々にとっての生き甲斐や健康づくり、さらにはまちづくりに活かすことで地域社会を元気にすることができます。学校教育における音楽?美術?体育の意義を新たな視点から考えてみる機会を与えてくれます。これこそ北海道教育大学の大きな特徴でもあります。学科の成果を実際に授業として組み立て、教員養成課程のカリキュラムに位置づけていきたいものだと考えています。
今年も皆さんの助けを借りながら職務に邁進したいと思っております。北海道教育大学、各教職員、学生の皆さんにとって、平成30年が良い年になりますことを願って年頭の挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
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昨年は、皆様方のおかげで、今取り組んでいる改革や、年度計画を順調に進められたと考えております。年末に法人評価委員会から伝達された、平成28事業年度に係る法人評価の結果においても、全ての項目で「順調に進んでいる」との評価を得、加えて、それぞれの項目に、注目される取り組みも取り上げられました。本当にありがとうございました。
さて、昨年来、教員養成改革に関する議論が全国的に進められています。その中で幾度となく「高度化」あるいは「高度専門職」という言葉を耳にしました。
そもそも教師という職業は、国家資格ではありませんが、医師、弁護士、薬剤師などと同様、高度な専門職だと、私は捉えています。
つまり、教員を目指す学生は、その養成段階において、教育学、心理学を始め、教科の基盤となる自然?社会?人文科学など、極めて多岐にわたる学問の専門的知識を吸収しなければなりません。そればかりか、それらの内容と理論に基づいた実践を行うための基本的技能を身につけ、そして実践を積みながら経験知を増やさなくてはなりません。最終的に、それら極めて多岐にわたる知識と技能?経験知の全ての要素を構造化して、個々の関連性も理解して教員となります。
さらに、現場に出れば、一人一人多様な子どもから学ぶこと、さらには、世の中の変化に対応するための最新の理論や知識等を、その構造の中に位置づけて再構築することを続けていかなければなりません。極めて多岐にわたる知識?技能と経験知が、教員の中で構造化され、関連性が理解されているからこそ、経験したことのない新たな課題に対しても、構造化された要素に照らして速やかに判断を行って、適切な対応ができることになります。教師が学び続ける職業と言われるゆえんであり、まさに臨床医や弁護士と同等の高度な専門職であることを示しているわけです。
だとすれば、ことさら教員養成大学?学部において高度化の問題が取り上げられるのはなぜなのでしょうか。一つの問題として、高度専門職業人を養成する大学?学部自体が全体として教員養成のプロ集団になっていますか?と問われているのではないかと思います。
プロということをどう定義するかは色々あると思いますが、NHKの「プロフェッショナル―仕事の流儀」という番組の中で、カルビーの社長?松本晃さんがこう言っていたことが思い出されます。
「プロとは、第一に圧倒的な実績を持っていること。第二に人を納得させる理論を持っていること。第三に人から尊敬される、あるいはあの人ならと思わせる人徳を備えていること。」
私たちに当てはめて考えると、教員養成を担う一人一人が、それぞれが専門とする学問を土台として、学校教育という臨床の場における課題解決に確固たる実績をつくり、その蓄積の中から、個々の課題に適用し得る普遍的?体系的な概念?理論を生み出し、それをもって学生が将来子どもたちのために最大限の力を発揮できるように教育する、ということになるのではないでしょうか。
そういう学問として取り組む教員養成、これを象徴的に「教員養成学」と呼んで、その構築を目指せないものかと考えています。このことが今後まとめる本学の大学院改革の基調になければならないと考えているところです。さらに言えば、教員養成に関して繰り返される議論に終止符を打つためには、今述べたように、大学?学部がプロ集団になることが重要なのではないかと考えています。
函館?岩見沢の学科は、この3月に、はじめて卒業生を出します。本学に来てはじめて卒業生を出す先生方もいることでしょう。卒業生一人一人が今後どう生きていくのか、ちゃんとやっていけるのか、卒業させても心配は尽きないと思います。
気になっている一期生の就職状況についてはまだ聞いていませんが、年末にかけて学生の活動が伝わってきました。一つは函館校の学生が「第2回函館学生政策アイデアコンテスト」で優秀作品アイデア賞を受賞したというもの。もう一つは岩見沢校の学生が、札幌市主催の「オリンピック?パラリンピックを考える学生アイデアコンテスト」で最優秀賞に選ばれたというものです。
いずれの学生も、学科の目的、すなわち「地域再生?活性化を牽引する実践的な能力の獲得」ということが実現されているということを実際に見せてくれていると感じ入った次第です。学科全体、研究室単位での教育が実を結んでいるのではないでしょうか。
今紹介したような成果は、教員養成課程にとっても大きな意味を持っています。
国際的な視野を持って、教育問題を含む地域の課題を分析し、その解決策を企画?実施?検証する函館校の取り組みは、まさに現在進行形の生きた地域教材となります。また、音楽?美術?スポーツという文化は、社会的包摂機能を持ち、多様な人々にとっての生き甲斐や健康づくり、さらにはまちづくりに活かすことで地域社会を元気にすることができます。学校教育における音楽?美術?体育の意義を新たな視点から考えてみる機会を与えてくれます。これこそ北海道教育大学の大きな特徴でもあります。学科の成果を実際に授業として組み立て、教員養成課程のカリキュラムに位置づけていきたいものだと考えています。
今年も皆さんの助けを借りながら職務に邁進したいと思っております。北海道教育大学、各教職員、学生の皆さんにとって、平成30年が良い年になりますことを願って年頭の挨拶とさせていただきます。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
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平成30年 年頭
北海道教育大学長 蛇穴 治夫
北海道教育大学長 蛇穴 治夫