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NEWS(お知らせ)釧路校教員らが化石種「タカハシホタテ」の名前の由来を解明しました

2017年8月3日

タカハシホタテ(Fortipecten takahashii (Yokoyama, 1930))は約700万年前?100万年前に東北地方からカムチャッカ半島にかけて生息していたホタテガイ類の一種です。この化石ホタテガイ類は大型でサラダボウルのように膨らんだ分厚い下側の殻(右殻)とやや膨らみの弱い上側の殻(左殻)、そして大きな耳によって特徴づけられ、その奇抜な姿は古くから古生物学者や化石愛好家の注目を集めてきました。タカハシホタテは道内では沼田町や釧路市阿寒町などで多産しますので、名前をご存じの方もおられるかと思います。
 
本種は昭和5年(1930年)に東京帝国大学の横山又次郎(よこやままたじろう)教授(写真1)によって、新種Pecten takahashii(ペクテン?タカハシイ)と命名?記載されました(Yokoyama, 1930)。
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写真1. 横山又次郎教授
画像データは東京大学総合研究博物館の佐々木猛智准教授提供
 
 その元となった標本(タイプ標本:写真2)は、樺太庁大泊中学校教師の「Mr. S. Takahashi」(以下,「タカハシさん」とします)と生徒らによって、樺太庁元泊郡知取町磯牛(Isos)で採取されたものであることが、横山教授の論文(英文)で述べられています。
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写真2. Pecten takahashii Yokoyama, 1930のタイプ標本
(東京大学総合研究博物館所蔵)同一標本を異なる三方向から撮影

 昭和15年(1940年)には東北帝国大学の矢部長克(やべひさかつ)教授と畑井小虎(はたいことら)副手(のち教授)によって、この種を模式(タイプ種)としたタカハシホタテガイ亜属 Fortipectenが提唱されました。さらにその後の昭和27年(1952年)にこの亜属が属に昇格したことにより、本種の学名は現在用いられているFortipecten takahashii(フォルティペクテン?タカハシイ)に変更されています。しかしながら、名前の由来となった「タカハシさん」の実名については不明なままとなっていました。
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写真3.昭和14?15年頃の樺太庁大泊中学校教員の集合写真
後列中央右側の人物(白矢印)が高橋周一教授
昭和30年発行「樺太庁大泊中学校?高等女学校同窓会誌」第四号
(原資料:釧路市立図書館所蔵)より

 本学釧路校の松原尚志准教授らの研究グループ(詳細下記)は東京大学総合研究博物館所蔵のタイプ標本の再検討と平行して、戦前の樺太に関する文献資料を調査しました。その結果、昭和10年(1935年)発行の「樺太庁職員録」により、「タカハシさん」が樺太庁大泊中学校博物課の高橋周一教授(写真3)であったことを明らかにしました。この研究成果は8月10日発行の日本貝類学会研究連絡誌「ちりぼたん」第47巻第1-4合併号に発表されます(松原ほか, 2017)。高橋教授の詳しい経歴については不明のままですが、彼の名は昭和13年(1938年)発行の寺崎留吉著「続 日本植物誌」にも標本提供者の一人として掲載されています。
 日本で古生物学が始まってから140年余りになりますが、今回の研究成果によって古生物学史に新たなトリビアが一つ、加わったことになります。
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<研究グループメンバー>
 松原尚志(北海道教育大学釧路校 准教授.理学博士)
 佐々木猛智(東京大学総合研究博物館 准教授.理学博士)
 伊藤泰弘(東京大学総合研究博物館 技術補佐員.理学博士)
 天野和孝(上越教育大学 教授.理学博士)
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<研究成果>
松原尚志?佐々木猛智?伊藤泰弘?天野和孝. 2017. 東京大学総合研究博物館所蔵の新生代化石貝類タイプ標本図説. 20. タカハシホタテガイ属(二枚貝綱:イタヤガイ科).ちりぼたん, vol. 47, nos. 1-4, p. 4-19.

<横山教授による論文>
Yokoyama, M. 1930. Tertiary Mollusca from South Karafto. Journal of the Faculty of Science, Imperial University of Tokyo, Section 2, vol. 2, p. 407-418, pls. 77-80. 
http://umdb.um.u-tokyo.ac.jp/DKoseibu/pdf/Ref_0500_.pdf
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<国立国会図書館所蔵デジタルコレクション「樺太庁職員録」>
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1272973
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