研究活動グローバル化への対応(H28?H29)
理科教師の「探求に基づく学習」(IBL)のとらえ方とその実践:日本、米国と中国との比較研究
プロジェクトの背景と目的
初等中等教育における優れた理科の教授?学習法が求められている。これについて、我が国の次期学習指導要領のキーワード、アクティブラーニングが示されている。これは、従来の教師主導の講義形式の授業とは異なり、児童?生徒?学生が主体的に学習する教授?学習法である。
その授業方法としては、発見学習や問題解決学習などが示されている。ところで、ここで注目するのは理科の教授?学習法である。理科の一つの方法として「探究に基づく学習」(IBL: Inquiry Based Learning)(以下「探究学習」)がある。これは長い歴史を持ち、また多くの理科教師達がこれを重要なものと捉えている。また、日本だけではなく中国、アメリカ、ヨーロッパなど海外においても探究学習が重視されている。ところで、それぞれの国で示されている文書によると探究学習の方向性は示されているが、具体的に探究学習をどのように実施するかについては、一人一人の教師に任されている。これは大変重要なことであるが、逆にこのため、探究学習の捉え方、スキル、理解については、幅があるものと言えよう。そこで本研究では、日本、アメリカ、中国では、探究学習がどのように捉えられ、どのような実践がされているか。その共通点と相違点を見つけ出し、探究学習を行う上での課題を明らかにする。そのために、調査を行い、分析する。さらにこの結果より、教員養成課程の理科教育法の探究学習についての授業プログラムと現職教師を対象にした研修の授業プログラムを開発することを目指す。
本研究の方法として、次の5点を行う。
(1)探究学習についての調査問題を日米中の研究者と共同で開発して、それぞれの国の理科教師を対象に調査を実施する。その調査結果により、日本と諸外国の状況の共通点と相違点等を明らかにする。
(2)その際、北海道内の現職の理科教師にも調査問題の開発過程で意見を聞き、また北海道内の現職教師に調査実施に協力してもらう。国内の北海道以外の地域の現職教師も対象にすることを検討している(日本のデータ)。
(3)米中の現職理科教師を対象に同じ問題を用いて調査を実施する(米中のデータ)。
(4)上記の結果を分析し、探究学習の授業の実態を示す。
(5)この調査結果は今日の探究学習の実態を示すものである。これらの国の実態の共通点と相違点を示し、特に我が国の良い点、課題を明らかにする。
(6)教員養成課程で学習すべき事を、この調査から明らかにして、大学の授業にこれを取り入れる。また、現職を対象にした教師教育の研修にもこれを取り入れるようにしたい。これは現在求められているアクティブラーニングの一つの方法となる事が期待される。
(7)調査から明らかになったことを国内及び国外の学会で発表する。情報を共有する。
実施体制
- 北海道教育大学旭川校
- アメリカ、ニューヨーク州立大学(UB:バッファロー大学)
- 中国、杭州師範大学 など
報告書
- 平成28年度進捗状況報告(124.90 KB)