研究活動「札幌市教員育成フレッシャーズセミナー?理科指導」を実施しました
札幌市教育委員会と連携し「札幌市教員育成フレッシャーズセミナー?理科指導」を実施しました。この研修の目的は、札幌市の新年度小学校教員採用予定者の理科の指導力を向上させる点にあります。今年度の参加者数は40名で、物理学?化学?生物学?地学の4領域のうち、各名が2領域の研修を受講しました。
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物理学領域の研修内容は、第5学年「電流が生み出す力」の単元に関連したものです。鉄心を入れたコイルに電流を流すと、「電磁石」と呼ばれる磁石の性質をもつ物体になります。この実験で扱う回路はショートしていますので、電磁石は高温になり、やけどの危険があります。受講者は電磁石を作成し、電磁石の温度上昇を観察することで、ショート回路の危険性を認識した様子でした。
化学領域は、第4学年「水のすがた」の単元に関連した研修です。参加者は、はじめに水をあたためたときの水温の時間変化を測定しました。水温の変化だけではなく、ビーカーの底からの気泡の発生など実験中に生じる様々な現象を注意深く観察しました。一つの実験においても実に様々な自然現象が生じることを認識し、さらには一つの自然現象を理解するだけでも多面的に物事を考察する必要があることを学びました。その上で、小学校学習指導要領解説理科編における化学の位置付けを学習しました。
生物学領域は、全学年を通して用いられる「顕微鏡の使い方」と第6学年「水よう液」に関連した研修です。まず、顕微鏡を実際に使いながら顕微鏡の操作方法を学習した後、テグス?髪の毛?花粉などの様々な材料を顕微鏡で観察しました。次に、ムラサキキャベツのしるを用いて、水よう液の酸性?中性?アルカリ性といった酸性度の性質を調べました。リトマス紙を用いる方法と違い、ムラサキキャベツのしるを使うと酸性?中性?アルカリ性の強さを視覚的に判定できます。受講者は、リトマス紙を用いる方法よりも、さらに踏み込んだ追究も可能であることを学びました。
地学領域は、第6学年「土地のつくりと変化」に関連した研修です。受講者は、アンモナイトや三葉虫などの示準化石の基本的知識を学びました。化石は、過去の生物の遺骸やその生活の痕跡が地層中に埋没?保存されたものです。そのため、示準化石を調べることは、地層ができた地質時代を知ることにつながります。これらの説明を受けた後、化石から型をとったレプリカを作成すると同時に授業におけるレプリカの活用について考えました。
研修後のアンケート調査から、受講者は、各領域で実施された研修を通して理科の指導に必要な基礎的知識や理科実験上の安全に対する配慮について理解を深めたことがうかがえました。
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○実施日時
2017年(平成29年)2月14日(火)9:30~17:00(午前中は札幌市教育委員会による講義と演習)
○実施場所
札幌市生涯学習センター ちえりあ、〒063―0051 札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10
物理学領域の研修の様子
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(左)実験に潜む危険についての説明を受けている様子。
(右)作成した電磁石の温度を赤外線サーモグラフィで測定している様子。
化学領域の研修の様子
(左)小学校理科の内容について学習している様子。
(右)水を加熱する実験をしている様子。
生物学領域の研修の様子
(左)顕微鏡の扱い方の説明を聞いている様子。
(右)顕微鏡で材料を観察している様子。
地学領域の研修の様子
(左)示準化石についての説明を受けている様子(スライドは生きている化石「オウムガイ」)。
(右)示準化石(アンモナイト)のレプリカを作成している様子。
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